愛を愛して
ああ、嫌な事を思い出してしまった。
大きくなるたび、あの話が嫌いになった。
私は、そんな子になれないから。
「・・・・・・朱里ちゃん?大丈夫?」
ハッとした。
ぼーっとしてたみたい。
「大丈夫だよ!ちょっと眠くて。気にしないで」
愛想笑いを浮かべると、星野唯は不安そうな顔をする。
「あの・・・・・・もしかして、朱里ちゃん、蒼の事・・・・・・好き?」
何を言い出すんだ、この女。
「・・・・・・どうして?」
「えっと・・・・・・ただの勘っていうか・・・・・・違うならごめんね」
もし、私が蒼さんの事を好きだと言ったら
この子はどうするのだろう。
身を引く?
それとも・・・・・・私と戦う?