愛を愛して
「朱里ちゃんの彼氏だって言うから入れちゃったけど・・・だめだった?」
母が心配そうに言った。
昨日の事なんて、すっかり忘れてるようで。
ううん、忘れてるわけじゃない。忘れたフリをしているんだ。
気持ち悪い。
全てを無かったことにする母も
見ないフリをする父も
何もかも、気持ち悪い。
「・・・へーきだよ!九条先輩いこっ!」
「えっ?朝食は?」
母の声を無視し
無理やり先輩の腕を掴み、玄関を出た。