愛を愛して
「あんたまじむかつく!何がきゃあだよ。かわいこぶってんじゃねーよ!」
「そんなつもりは・・・」
なになに。どうしたの。
唖然としながら言い合っている二人に近づくと、
転んだ方が私に気づき、びくりと震えた。
多分、喧嘩腰の彼女の仲間だと思われているんだろう。
「ちょっとマキ。どうしたの?」
「あっ・・・朱里」
ばつが悪そうに目を逸らすマキ。
私が正義感が強いという事を知っているからだろう。
「話して?」
「・・・こいつ、蒼さんに手出したんだよ」
蒼。
その名前が出た瞬間、教室の空気が変わった。
この街一帯を占める不良グループの、リーダーだ。
「違う!手なんか出してない!ただあっちが付きまとってくるだけで・・・」
「はあ!?」
ああもう、馬鹿。