愛を愛して
  
 
「あんたまじむかつく!何がきゃあだよ。かわいこぶってんじゃねーよ!」
 
 
「そんなつもりは・・・」
 
 
なになに。どうしたの。
唖然としながら言い合っている二人に近づくと、
転んだ方が私に気づき、びくりと震えた。
  
多分、喧嘩腰の彼女の仲間だと思われているんだろう。
 
 
「ちょっとマキ。どうしたの?」
 
「あっ・・・朱里」
 
ばつが悪そうに目を逸らすマキ。
私が正義感が強いという事を知っているからだろう。
 
 
「話して?」
 
 
「・・・こいつ、蒼さんに手出したんだよ」
 
  
蒼。
その名前が出た瞬間、教室の空気が変わった。
  
 
この街一帯を占める不良グループの、リーダーだ。
 
 
「違う!手なんか出してない!ただあっちが付きまとってくるだけで・・・」
 
「はあ!?」
 

ああもう、馬鹿。
 
 
< 7 / 50 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop