愛を愛して
「落ち着いてマキ。えっと・・・・・・あなた、名前は?」
「・・・・・・星野、です。星野唯。」
見れば見るほど可愛い。
「ごめんね星野さん。マキは蒼さんのファンだから・・・・・・」
「なんで朱里が謝るんだよ!?」
「どんなことがあっても手は出しちゃだめでしょ?」
落ち着いた声で諭すと、マキは無言で頷き自分の席へ戻った。
それと同時にぴりっとしていた空気が変わりはじめた。
『やっぱ朱里すごいね』
そんな言葉がちらほら聞こえてくる。
「大丈夫?ほら」
星野さんに手を差し出すと、彼女はおずおずと私の手に掴まった。
ああ、スカートが汚れてる。
「あの・・・・・・」
ポケットティッシュを鞄から取り出そうとする私に、彼女は言った。
「・・・・・・助けてくれて、ありがとう」
ふわりと笑った彼女を見て、私は思った。