Assassins
「いえ」

亮二の問いかけに答えたのは巽だった。

「刃物ではなく、針状の物…釘とか、錐とか」

そこで一旦言葉を区切り。

「そのアイスピックのような」

「……」

亮二に動揺はない。

ただ黙々と氷を砕き続ける。

その音だけが、沈黙の訪れた店内に響き渡る。

…ややあって。

「それで、アイスピックを職業柄使用されている店などを、こうして全て回って、お話を聞かせて頂いています。御気分を害されたら大変申し訳ありません」

「いえ」

倉本の言葉に、亮二は微笑んだ。

「警察の捜査に協力するのは市民の義務ですから」

< 24 / 360 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop