五月雨・序

“ボスッ。”

二段ベットに飛び乗る。
近い天井に手を伸ばす。
まだ、届かない。
圭吾とアタシの距離みたいだ。
届きそうで、触れられなくて。
悲しい立ち位置。
それでも好きと言ってくれる事を感謝する。
優しく笑う貴方に、抱き付きたい。
周りなんか気にしないで。

「結局、自分の事ばっかじゃないか。」

寝返りをうって物の散らばった机を見る。
何て汚い部屋。
部屋の管理者を見てみたい。
…………馬鹿馬鹿しい事は、嫌い?

「大好きか。嫌な言葉。結局、何も分かってないのに、ただ分かってるふりばっかりして。今のアタシと一緒……。」

“ギシッ。”

ね、圭吾。
こんなアタシを、君は知らない。
其れでも好きって、言ってくれる?
醜いアタシを、愛してくれる?

ごめんなさい。
そんな事、誰にも分からないよね。

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