五月雨・序

“ガシャッ。”

自転車通学。
圭吾は歩くようになって自転車で学校に登校するのをやめてしまった。
どうしてって聞いた。
一緒に居たいからって頭を撫でられた。
笑い返した。
作り笑顔で。

『そんな笑い方すんなよ。』

怒られた。
久しぶりだった、あんな顔。
怖くて、身を縮めた。
でも、圭吾はその後優しかった。
愛を感じた。
長年いっしょにいる夫のような。

「圭吾。」
「ん?」
「えっと…………。」
「謝まんなよ、お前は何もしてない。」

君の優しさが、愛しいのに。

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