五月雨・序
「お疲れ。」
「うん。」
手を小さく振ると、圭吾が頭を撫でて、こめかみにそっとキスをしてくれた。
「……人、見てるよ。」
「そんなんに負けてられっかよ。俺はずっと遥とこうしてたいのにさ。人に何言われたって気にしたくねえよ。ここまで、口出されてたまるか。」
「…………うん。」
こうやって愛をささやかれたのも、キスをしたのも圭吾が初めてだった。
中学生じゃ、遅いのかな?
それとも、早いのかな?
こんなこと、圭吾にはどうでもいいんだよね。
好きなら関係ないって、そう言うんだよね。
「じゃあな。」
「うん。」
大きな愛を、アタシはここで埋めていた。