五月雨・序
“キーンコーンカーンコーン。”
ちょっと、憂鬱。
嫉妬は抜けてない。
宗助は他の子と登校。
多分、意味が分かってない。
鈍感男。心でそう呟いた。
“ガタッ。”
「…………。」
何で、見たのに無視?
ああ、気まずいか。
アタシはもう、気にしてないのに。
「……宗助?」
「え?」
そんなに驚いた顔で見なくたっていいのに。
いや、普通に普通に……。
「今日、当たるよ。」
「何に……?」
「国語。」
「そっか……。」
しばらくは、このままで良いと思った。
何となく、君を見ているだけで。
君の、少し近くに居れるだけで。
もう、悲しくなんかないよ。