五月雨・序

“キーンコーンカーンコーン。”

ちょっと、憂鬱。
嫉妬は抜けてない。
宗助は他の子と登校。
多分、意味が分かってない。
鈍感男。心でそう呟いた。

“ガタッ。”

「…………。」

何で、見たのに無視?
ああ、気まずいか。
アタシはもう、気にしてないのに。

「……宗助?」
「え?」

そんなに驚いた顔で見なくたっていいのに。
いや、普通に普通に……。

「今日、当たるよ。」
「何に……?」
「国語。」
「そっか……。」

しばらくは、このままで良いと思った。
何となく、君を見ているだけで。
君の、少し近くに居れるだけで。

もう、悲しくなんかないよ。

< 23 / 122 >

この作品をシェア

pagetop