五月雨・序
「……遥。」
「何?」
もう、宗助の事は気にしないことにした。
近いけど、遠距離恋愛。
だから関係を保っていられた。
ずっと、話す事は減って、友香にすっかり越されたけど。
友香は笑っていて、紗江は同情してかばってくれて。
アタシは幸せだったんだよ?
「……何でもない。」
「そ。ねえ、始まるよ。」
「……うん。」
「頑張ってよ?」
「うん。」
アタシはまだ、気付いていなかった。
もっと悲しい事があるなんて、知らないで笑っていたんだ……。