五月雨・序
「谷口?」
「ん?」
「また村山と話す機会減ってね?」
「え……。」
高橋には隠し事が出来ない。
そう思っていたけどここまでなんて……
高橋は、応援してくれるのかな?
ごめんね、宗助。
高橋には隠し事しちゃいけない気がするんだ。
「……実はね。」
「?」
高橋は、アタシ達が釘だとしたら磁石。
二人を引き合わせてくれる。
優しい繋ぎ止め方。
まるでそれが当然のように。
頑張ってって後ろから押してくれるように。
「そっか。よかったじゃん。」
「え、あんまり驚かないんだ……。」
「お前等なら、そんな感じかなと思って。」
「そうなんだ……。」
「皆には?」
「言ってないよ、高橋だけ。」
「…………。」
君はどうして俯いて黙ってしまったの?
後は別れの挨拶だけで何も話さなかった。
そのわけを知るのは、もう少し後の話。