五月雨・序
「…………。」
沈黙が流れている。
“何で先に帰ったか聞いてるんだけど。”
「……分かってる。」
二人とも、機嫌が悪かった。
だからさらに上手く噛みあわない。
「……女子達とイチャイチャしてたくせに。」
“してないよ?”
「アタシには、そう見えたの……。」
“…………。”
何で、黙っちゃうの?
後ろめたい事なんかないでしょ?
どうして、そんなに怒ってるの?
怒りたいのはアタシの方だよ……!
「また、今度話そう?」
“じゃあ、明日。視聴覚室の前なら誰も来ないと思う。”
「…………分かった。」
何だか、嫌な気分だった。
せっかく付き合えたのに。
せっかく両想いなはずなのに。
どうして、こんなに離れているの……?
寂しいんだよ、アタシ。