五月雨・序

「…………。」

沈黙が流れている。

“何で先に帰ったか聞いてるんだけど。”

「……分かってる。」

二人とも、機嫌が悪かった。
だからさらに上手く噛みあわない。

「……女子達とイチャイチャしてたくせに。」

“してないよ?”

「アタシには、そう見えたの……。」

“…………。”

何で、黙っちゃうの?
後ろめたい事なんかないでしょ?
どうして、そんなに怒ってるの?
怒りたいのはアタシの方だよ……!

「また、今度話そう?」

“じゃあ、明日。視聴覚室の前なら誰も来ないと思う。”

「…………分かった。」

何だか、嫌な気分だった。
せっかく付き合えたのに。
せっかく両想いなはずなのに。
どうして、こんなに離れているの……?


寂しいんだよ、アタシ。


< 46 / 122 >

この作品をシェア

pagetop