五月雨・序
いつ起きよう?
心配って、何?
どうしてここに来るの…………?
「早く起きろよな、この野郎。」
高橋からのデコピン。
今しかない……。
「った……!」
「あ、起きた。」
よし、バレてない……。
通常通り、通常通り……。
まずは驚かなきゃ。
「な、何でここに居るのよ!?」
「へ?連絡があったから。」
「誰から?」
「柳。久々に行ったら谷口が倒れてたって。」
柳…………。
掛け持ちしてからずっと来なかったのに。
偶然が重なったんだ……。
「で、来たの?」
「うん。」
「別に、来る事ないのに……。」
「一人じゃ、危ないだろ。」
「え……。」
不覚にも、ドキッとしたアタシがいた。
高橋相手に、しかも宗助がいるのに……。
「さすがにお前みたいな凶暴女でもな~。」
「な、何それっ?!」
「お前、どうせ村山と喧嘩したんだろ?だからストレスでぶっ倒れた。で、ここに俺登場。お前は驚いてる。」
「…………はい。」
「ほらな。」
夕方で、もう陽は暮れかけていた。
静まり返る保健室。
「なあ。」
「……ん?」
「帰ろうぜ。」
「うん。」
何処か、不思議な空気が流れてた。