五月雨・序
「じゃあ、着がえるし、出て。」
「何で?良いじゃん。」
「はっ……!?」
耳まで多分赤かったと思う。
何、この感覚。
「そのままでよくね?別にジャージで。」
「ジャー……。」
そっか、無理して着がえる事ないんだ……。
何となく納得させられる自分が悔しい。
“シャーッ。”
「2ケツして帰ろう。」
「は!?」
「何、さっきからうるさい。」
「だって…………。」
2ケツって、付き合ってないとしなくない?
高橋の思考回路が分からない。
「早く靴履いて。荷物持つから。」
「……うん。」
「はは、何か大人しい谷口ってウケる。」
「そ、そんなことないし……。」
「でも、よかった。」
“ガラガラッ。”
高橋は笑ってこっちを振り向いた。
生徒のいない校舎。
二人の声が校舎に響いていた。
「元気が戻ったみたいで。」