五月雨・序
“ガチャッ……。”
こっそりと家を出る。
さっきの高橋の約束、破っちゃうけど……。
まあ、良いか。
「…………。」
キョロキョロと周囲を見回して安全確認。
「よっし。」
忍び足で夜道を歩く。
制服から私服オンモードに切り替わる。
ピンク地のフリルTシャツに赤ギンガムチェックのスカート。白いカーディガンを羽織ったスタイル。何気にお気に入りだったり。
“タッタッタッタッ。”
今だけは、宗助を忘れよう。
距離を置くのもやめよう。
もう、中途半端な感情は消したい。
アタシから切ってしまおう。
これで、アタシもすっきり出来る。
それって大切だと思うから。