あなたと月を見られたら。
涼しい顔に涼しい目をして、語る龍聖。色素の薄い薄茶の瞳が私の瞳の奥をじっと見据える。
「どういう…こと??」
《愛してる、の代わりになる言葉はこの世の中にはいっぱい溢れてる》
そう言った彼の言葉が意味がわからなくて素直にたずねると
「さあ?それは付き合ってみてからのお楽しみじゃない??」
「え、ええ?!」
「バカだね、美月。そんな重要なこと簡単に教えるワケないじゃん。相変わらず美月の頭の中には幸せのお花畑が咲いてるねぇ。」
そう言って龍聖はクスクス笑う。
こ、こいつ…
やっぱり性格悪い!!!
口の端をピクピクさせながら、龍聖の悪態に耐えていると
「ってことで答えを知りたいなら俺と付き合いなよ。」
悪魔は意味のわからない要求を突きつける。
「冗談言わないでよ!なんで私がアンタと付き合わなきゃいけないのよ!!」
私は龍聖みたいに愛のない人はお断り!さっきもそう言ってキッパリサッパリお断りしたはずだよね??!!
数分前の真剣な話し合いはどこへ消えていったのか。龍聖の脈絡のない、俺と付き合え攻撃に辟易しながら丁重にお断りをすると
「ふーーーん。それならこないだ貸した本、今すぐ返してもらおうかなー。」
そう言って悪魔は私に右手を差し出した。