あなたと月を見られたら。


三ヶ月間だけ。


その言葉に心の足かせが少しだけ軽くなる。


三ヶ月間だけなら…いいかな。だってね?玲子先生から本を取り返すことはできないんだし……三ヶ月間だけなら、形上だけでも仕方ないかも…。


カラダに火をつけられて、溶かされた思考回路で考える結論なんてロクなものじゃない。


きっと龍聖は全部お見通しだったんだろう。玲子先生をダシに使えば私がイヤだって言えないことも、欲望に火をつけて思考回路をマヒしてしまえば簡単に私が落ちることも全部計算づくだったんだと思う。


「どうする??美月。
俺と三ヶ月間だけ付き合う?それとも本を今すぐ返す?どうしようか。」


最高にセクシーな色気のある声で悪魔は囁く。背中に感じる彼の体温、彼の香り、彼に抱きしめられながら、彼の熱さに酔わされながら


「……本当に三ヶ月間…だけ?」


そうたずねると


「まずはね。もちろん延長も可能だけど?」


悪魔は愉快そうに微笑む。そして私を強く抱きしめ、私の首すじにキスをする。そして指の腹で私のカラダの感触を確かめるように艶めかしく下に這わせる。



三ヶ月間だけ。三ヶ月間だけなら……。



密着すればするほど侵食してくる悪魔の呪い。快感に酔わされて、龍聖の熱に酔わされて、彼の言葉に騙されて、思考回路のマヒした私がついに


「龍聖と…付き合う。」


と小さくつぶやくと


「イイコ。美月はきっとそうすると思っていたよ?」



悪魔は私の耳元で最高に色気のある声で、満足そうに囁いた。

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