あなたと月を見られたら。
は????
龍聖のことが大好き…?
「はぁーっ?!何言ってんですか!絶対に違います!それは絶対にないです!!」
アイツは史上最低最大の元彼!
仕方なく付き合ってるんだもん!
期間限定の恋人なんだもん!!!
エッチだって…アイツの思惑に乗せられてヤラれちゃっただけだもん!!
もちろん彼に惹かれている気持ちはあるし、ちょっと気になってはいる人ではあるけど……龍聖が大好き??ない、ない、ない、ない、それはない!!!
数時間前、龍聖の腕の中で感じた、あの幸せな気持ちや満たされた気持ちは必死に頭の隅に追いやって麻生さんに抵抗してると
「…もうさぁ??そんな風に自分に自分で言い聞かせなくてもいいんじゃない?龍聖を信じてちゃんと“好き”をぶつけてみなよ。」
麻生さんはハァと小さく溜息を吐いた後、諭すように私に語りかけた。
「いや、だから私は龍聖のことなんて別に好きじゃないんですってば!!」
自分を納得させるように。それこそ自分の本当の気持ちには蓋をして本音を見て見ぬ振りして、精一杯のプライドを盾に反論すると
「牧村さん。それ、逆効果だから。」
「え??」
「嫌いだ、嫌いだ、っていうたびに龍聖のことが好きで好きで仕方ない、って言葉がダダ漏れしてる。」
そう言って麻生さんは運ばれてきたメンチカツサンドに手を伸ばす。
「もう素直になりなよ。嫌い嫌いも好きのうちなんだってば。」