あなたと月を見られたら。
は??
嫌い嫌いも好きの内??
麻生さんの言葉に戸惑って体も思考回路もフリーズしたまま固まってると
「龍聖が牧村さんのこと諦めきれなかったのと同じように、牧村さんも龍聖のことをずっと忘れられなかったんでしょ?好きだから忘れられなくて、好きだから愛されなかったことが悲しくて、、、憎むコトしかできなくなってた。どう?違う??」
麻生さんはこんな爆弾を私の心に放り込む。
「違う…!そんなこと…!!」
認めたくなくて吐き出した言葉は
「そんなことあるでしょ。二年もの間誰とも付き合わず、心惹かれる人もいなくて、当然オトナの付き合いなんてしたこともない牧村さんが、龍聖に簡単にカラダを許したことがその証拠じゃん。本当は流されたかったんでしょ?本心では抱かれたかったんでしょ?龍聖に。」
麻生さんの核心をえぐる言葉に潰される。
「いい加減素直になりなよ。好きなんだよ牧村さんは。なんだかんだで龍聖のことが……さ??」
龍聖を好き??
私が……???
麻生さんの言葉と共に浮かんできたのは、今の彼ではなくって
真剣な恋なんてめんどくさい
束縛されるのも大嫌い
結婚なんて人生の墓場だろ
愛してる、なんて気持ち悪い
二年前、ひどい言葉とひどい態度で私を苦しめ続けた、あの時の龍聖だった。