あなたと月を見られたら。


◆ ◆


麻生さんとランチを食べて会社に戻って仕事して。もう一息ついたから家に帰ろうかな、と立ち上がった時にカバンの中で携帯がプルプルと震えた。


気になって取り出すとそこに出ていた名前は佐伯龍聖。龍聖からメールが届いているのを知らせる音だった。


オフィスを出ながら慌ててフォルダを開けると


《美月、お仕事お疲れ様。
ちゃんと仕事できた??
今度はいつ会えるかな。今度の週末は美月は休み??もし休みなら金曜日の夜、俺の家に来てくれませんか? 佐伯龍聖》


龍聖からはこんなメールが届いていた。


バカだなぁ…
今きっとお仕事中なのにこんなメール送ってきて。なんて不良マスターなんだろう。


カウンターの奥で人目を伺いながらコソコソメールを打ってる龍聖を思い浮かべると可笑しくて


《ダメです。
お仕事をサボる不良マスターのところにはお伺いできません》


顔文字も何もなく送り返すと、数十秒後に


《ふーーーーーん。
そんな意地悪言うなら、今日の朝、こっそり盗撮した美月の半裸の寝顔写真、優聖に送りつけちゃおうかなー?》


とんでもない悪魔のメールが届いてしまった。



はぁ?!半裸の寝顔写真って何?!
っていうかいつの間にそんなの撮ったのよ!!


1人青ざめながら心の中で突っ込んでいると


《金曜日、夜8時に店に来てね。
わかっていると思うけど、キミに拒否権はありません。じゃあ、またね❤︎ 佐伯龍聖》


悪魔のメールの二通目が到着した。


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