あなたと月を見られたら。
キイィィーー!!!
く、くやしい!!!
完全に手玉に取られたこの感じは、なんなんだろう!!
悪魔だ!あいつはこの世に送り込まれた人間悪魔!!(エロイムエッサイムー、エロイムエッサイムー。)
悪魔で送りオオカミで極悪非道なカフェのマスター、佐伯龍聖の手練手管に完全にヤられてしまっている私。甘噛みしたら致命傷でやり返すって…大人気ないにもほどがあるわよ!
もーう、決めた!
龍聖にはもう騙されない。
私は2年前の自分とは違うのよ!
2年の間に大人になって、自立もして、ちゃんとしっかりしたんだもん!!男を見る目も養ったハズだし。
ここは大人の女性として龍聖に対峙するのよ!もうアイツの手の内になんてハマってやらないんだから!!今度は私が龍聖をギャフンと言わせる番よ!!
そう決めたくせに……
「んーっ!!」
「どう??美月。」
「美味しい!これ、すっごく美味しい!このガーリックシュリンプ、すっごく美味しい!!」
金曜日の夜。私は龍聖のお部屋で龍聖に餌付けをされて、スッカリご機嫌になってしまっていた。
「あとはロコモコとコブサラダもあるからね。デザートはコーヒーゼリー作ったから一緒に食べよう。」
「うんっ!!」
用心しなきゃ!と見えない心のフンドシをしっかり締めたハズなのに、美味しいモノを目の前にするとそれを忘れてご機嫌になっちゃう私は……頭の中にお花畑が広がってる、極度のおバカさんなんだと思う。
現にこうやって龍聖のお店から二人で龍聖のお部屋に帰ってきた時点で、危機管理がなってないんだもの。