あなたと月を見られたら。
◆ ◆
その日の夜遅く。
龍聖に突き上げられて、イキすぎてクタクタになったカラダをベッドに沈めながら
「嘘つき…!
オニ…!アクマ…!!」
力の入らないカラダで龍聖に非難の声を上げると
「ゴメンね。俺、どうもカワイイ子にはイジワルしたくなっちゃうみたいで。」
私の頭をイイコイイコしながら、龍聖は悪びれもなくニッコリ微笑む。
龍聖は生粋のドS。草食動物じゃなくて根っからの肉食動物。それはわかっていたけれど…龍聖はその度合いがひどすぎる!!
まぁ、、、ね?
なんだかんだで優しかったよ?
今回も龍聖は優しかった。
イジワルしてても、やっぱりどこか優しかったし、繋がってると安心できて、彼の腕に抱かれてるとそれだけで満たされて…。こうして甘いピロートークを嫌がらずにしてくれると、ひしひしと愛を感じちゃったりもするけれど…。
私、またやっちゃったんじゃない?また流されちゃったんじゃなかろうか!!
突然、そんな後悔に襲われ始める。
あぁー。こんなこと麻生さんに言ったらまたバカにされちゃうかもしれない。
「ハァ…私のバカ…」
一度ならず二度までも簡単にカラダを許しちゃうなんて…。
グッタリしたカラダにグッタリした思考回路。あまりに疲れすぎて重くなってきた瞼を閉じると
「眠い?美月。少し眠りなよ。」
龍聖は柔らかに微笑んで私の唇にキスをして、私をぎゅっと抱きしめる。
今日は満月。龍聖の小さな寝室にある小さな窓から、ビルの隙間をぬって綺麗な満月が小さく見える。小さく淡い光を帯びながら、私たちをやさしく見守ってくれる、淡い月。
龍聖は私を抱きしめながら
「ねぇ、美月。」
「…うん…??」
「今夜は月が綺麗だね。」
突然こんな言葉を口にする。
うん??お月様??
「ゴメン、りゅうせぇ…。眠くてもう瞼が開かない……」
急激な睡魔に襲われた私がそう呟くと
「うん、大丈夫。言いたかっただけだから、気にしないでいいよ。」
龍聖はニッコリ笑って私のカラダを柔らかに包み込み、私のつむじにキスをすると
「おやすみ、美月」
耳元でそう囁いた。