あなたと月を見られたら。


「あ、ちょっとアレの日で……」

お腹をさすりながら遠慮がちにそう言うと

「あ、そうなの…。つらいわよね、生理痛って。薬は飲んだ??」

玲子先生は心配そうに私に尋ねる。


本当に優しい玲子先生の気遣いに罪悪感を感じつつも

「大丈夫です。」

と答えると

「ツラくなったら言ってね?あんまり無理しなくていいから。」

玲子先生は爽やかにニッコリと微笑んだ。



玲子先生と話しながらブレンドコーヒーが来るのを待って

「コレが一応最初のプロットで、コレが冒頭部分なんだけどね?」

とカバンの中から資料を出そうとしたその時、玲子先生の携帯がピリリリと大音量で鳴り始めて

「ごめん、美月ちゃん。
ちょっと電話に出てもいい??」

「あ、、どうぞ、どうぞ!」

玲子先生は携帯を持ったままラウンジを後にした。



ハァ…なんとか玲子先生を騙せてよかった…。


ホッと一息ついた後、龍聖たちがいた方を見ると龍聖の姿はそこにはなくて、オジサマたちや美女の姿もそこにはなかった。


ーー帰った…のかな。



胸を撫で下してホッとしてると

「まったく龍聖にも困ったもんよね。何が楽しくてカフェのオーナーなんてするのかしら。龍聖にはブランド物のスーツが似合うのに。」


「アハハ。確かにネ。
でもそのうち飽きるんじゃないカナ。」

龍聖の隣にいた美女とスティーブと呼ばれていた元上司が私の隣の席に案内されて席に着いた。

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