あなたと月を見られたら。
「……。」
「あなた、龍聖の何なの?ただのファン?それともセフレ?それとも…はた迷惑にも龍聖に恋なんてしてるのかしら。」
美人の睨みって残酷だ。顔が綺麗な分、その視線は鋭くて威圧的。
「そのどちらにしても、おあいにく様。龍聖は誰にも本気になんてならないし、ベッド以外で愛を囁くオトコでもないのよ?」
「……。」
「沈黙は肯定よね?わかってるのよね?龍聖の本性を」
言葉もキツけりゃ視線もキツイ。人をバカにしたように蔑むように微笑むこの表情に怖じ気づかないのかと言われたらウソになる。
でも、でもね?
女の子って一度覚悟を決めたら、男の人以上に強いんだ。
「はい、私は龍聖の本性をよくわかってるつもりです。」
そう答えると目の前にいる綺麗なヘビ女は
「そうでしょう?お利口さんねえ。
わかってるなら話が早いわ。見ての通り私と龍聖の関係はトクベツなの。だから……部外者はサッサと尻尾巻いてお帰りなさいな。」
嬉しそうにニッコリと微笑んで、私にお店の出口を指し示す。
その笑顔にカチンと来て、龍聖がすごい形相をして彼女に声をかけようとするのと
「出て行きません!!
私は龍聖のコトが好きだから!彼が……彼が好きだから出て行きません!」
大きな声をあげて彼女に反論したのは、ほぼ同時のことだった。