あなたと月を見られたら。
11.エピローグ
◆ ◆ ◆ ◆
龍聖と向かいあって再び付き合うことになったことを麻生さんに伝えると
「よかったね!」
彼はとても喜んでくれた。
「俺、人のモノじゃないと燃えない主義だから…コレはコレでやりがいあるね。」
だなんてワケのわからないことを言っていたけど…深く考えないようにしてる。
玲子先生の新作「あなたと月が見られたら」は発売直後から売り上げが伸び始め、重版につぐ重版であれよあれよと言う間に今期一番の話題作となってしまった。
愛のない男と恋愛から遠のいているこじらせ女子。2人の織りなす恋愛模様が世の女性たちの共感を得たらしい。
そして龍聖のお店は、と言うと…
「マスター❤︎
写真一緒に撮ってくださぁい!」
「マスターってあのお話の男の子のモデルなんですよねぇ??」
連日満席の大繁盛。
というのもあるインタビューで玲子先生が
「ラベルリュヌのマスターがとってもいい男で、魅力的で。今回のヒーローは彼をモデルにしたんですよ?」
だなんて口を滑らせたことが原因で、雑誌に特集されたり、口コミで噂が広まったりで「知る人ぞ知る名店」から一気に有名店になってしまった。
でも…
「すみません、こちらは美味しいコーヒーを飲んでいただいて日々の疲れを癒していただく空間なので…そう言ったことにはお答えできないし、写真もご遠慮いただいてるんです。」
そう言って、龍聖は女の子たちをあしらっている。
そういうところは潔いし、カッコいいな、って思うけど…
「それに写真なんか撮っちゃったら満足して来てくれなくなっちゃうでしょ?」
「えー??」
「お客様みたいに魅力的な女性にはまたお会いしたいので……一回で満足されたら困りますから。」
そんな風に天使の笑顔で悪魔の誘いをかけるあたり…塔子さんの言う通り、龍聖はホストクラブを経営してもきっと上手くいくんだろうな、なーんて思ってる。