あなたと月を見られたら。


その答えにビックリしたのか、龍聖は目をまん丸にさせながら

「え?ティファニー以外?それまた変わった指定をしてくるね。どうして??」

意外そうに私に尋ねる。


ハァ。こんなことこの人に言っても通じないだろうし今さらだけど……言うしかない。


「私の元カレがね?デートの約束を破ったお詫びに…ってくれるアクセサリーがいっつもティファニーだったの。だからティファニーだけはお断り。」


龍聖が義務感からくれたプレゼントはティファニーが多かった。ネックレスにブレスレット、それにピアス。だから、ティファニーのカップだけは絶対にイヤだった。


別にティファニーが嫌いなんじゃなく、龍聖の手から貰うティファニーを見たくないだけというか、なんというか…。うん。うまく言えないけどそんな気持ちだったんだよね。


まあ、龍聖に言っても通じないだろうな…と思って、今さらこんなことをぶちまけた自分も情けなくてハァと小さくため息を吐くと


「そうなんだ。俺は良かれと思ってあげてたんだけど。」

「…え?」

「初めて美月にプレゼントをあげた時、散々迷った挙句に俺はティファニーのオープンハートのネックレスを選んだ。それを美月はすごく喜んでくれてたから…てっきりティファニーが好きなんだ、と思ってた。」


冷静な顔でコーヒーにお湯を注ぎながら、龍聖はポツリとつぶやいた。


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