あなたと月を見られたら。
初めてのプレゼント…か。
確か、付き合って1ヶ月記念、ってことで龍聖がサプライズでくれたんだよね。
「あれは…ティファニーが嬉しかったんじゃなくて、龍聖の気持ちが嬉しかったんだよ。」
「…え?」
「龍聖はどう思ってたのかはわからないけどね?私は高いディナーにも高級なアクセサリーにも興味ないの。あの時は高いネックレスをもらったから嬉しかったんじゃなくて…1ヶ月の記念日をちゃんと覚えてくれて、プレゼントを買おうって思ってくれた龍聖の気持ちに感動したの。」
あの時は、こんなにも愛のない人だと気づかなかったけどね?あれもどうせ義務感だったんだろうけど。
気を使って最後の言葉だけは伏せて、ウンウンと自分に大きくうなづいていると
「へー、そうなの?
女って大概高いものに飛びつくじゃん。高級フレンチに高級バッグ。好きなブランドさえ押さえておけば間違いないんだと思ってたなぁ。」
目の前にいる愛のない男は、またこんなトンチンカンなことを言い出した。
「…へっ??」
「だって女って基本、物欲で出来てるだろ?いいご飯食べたい、いい服着たい、いいバッグ持ちたい。だからそこの物欲さえ満たしておけば、日常に何しても差し障りないんだと思ってたんだけど…美月は違うんだなぁ…。」
だなんて恐ろしい言葉を冷静に言いながら、しかも納得いかない表情でカップにコーヒーを注ぐ龍聖を見て改めて思った。
この人に愛の常識は通用しない!!