あなたと月を見られたら。


さいっあく!
最低だ、最低だとはわかっていたけど、ここまで歪んでるとは思ってもみなかった!!



女は物欲で出来ている、ですって?!何てひどいこと言うのよ、この男!!



いや…そうだよ?
根本のところを探っていくと多分そうなんだけど…そんな事実をあっけらかんと、しかも堂々と大きな声で言わなくても良くない?!



「サイテー…。」

思わず口からこぼれた言葉は

「うん、ありがと。よく言われる。」

さらりと笑って返される。



そんな龍聖を見て思う。
こんなに、こじらせレベルの高い男とよく付き合ってたな、と。

恋は盲目っていうけど、その通りだ。最初は彼のこと大好きだったから、なんでも許せた。彼からもらえるプレゼントだって純粋に嬉しかった。


でも…好きだからこそ辛かった。
いつまでたっても義務感を匂わせる龍聖も、いつまでたっても普通の恋をさせてくれない龍聖も、何もかもが辛かった。だから…かな??聞きたくなった。



「龍聖はさ。真剣に人を好きになったコトってあるの??」



こんな男でも真剣に恋をしたことがあるのか、と。



多分心の奥では『あるよ』と答えてくれることを期待していたと思う。だけど……


「真剣に恋愛するのは正直めんどくさいかなぁ…。俺、恋愛以外にやりたいことがいっぱいあるから。」


愛のない男は相変わらず、愛のない言葉を撒き散らかす。



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