あなたと月を見られたら。
愛のない男は人を傷つけることにも躊躇がないらしい。
悪かったわね!
自己主張のないつまんない女で!
龍聖の言葉に大きく心の中で反論する。
ええ、確かに私は龍聖と付き合ってる時は何も言わない、何も言えない、ダメ女でしたよ。それは否定しない。
でも…嫌われたくなかった。
その一心だったんだけどな。
「龍聖」
「ん?」
「龍聖の言ってることは一理あるけどさ?例えば私が『もっと時間作って』とか『私とずっと一緒にいて』って言ったら嬉しかった?それとも束縛されてウザいと思った??」
少し冷めてきたコーヒーに口をつけながら、同じようにカウンターの中でコーヒーをすすっていた龍聖に尋ねると
「うーん、どうだろ。ケースバイケースだったんじゃない?とにかくあの時は仕事が忙しかったから…疲れてる時に言われたら面倒くさかったかもしんない。」
アイツは想像通り、非情な言葉をつき返す。その返しにハァとため息を吐きつつ
「でしょ?だから言えなかったんだよ。あの時の私は本当に龍聖のことが好きだったから、怖かったの。あんまり自己主張しすぎて、それを龍聖が煩わしく感じて、言いすぎて嫌になってフラれたらどうしようって…そればっかり毎日考えてた。」
あの時の気持ちの内を思い切って全て吐き出す。