あなたと月を見られたら。
私って龍聖にとってなんなの?
カノジョって肩書きはあるけど、カノジョになろうとすればするほど、カノジョらしいことをしようとすればするほど彼はどんどん逃げていく。
一緒にいて疲れる、ってなに?
私は少しの時間でもいいから会いたいな、って思うのに。少しの時間でも見つめあって、触れ合えば、それだけで幸せになれるのに。
「束縛なんてめんどくさい」
「結婚したいなんて思ったことないよ。自分の稼いだ金を嫁に牛耳られて24時間監視されるのかと思うとゾッとする。結婚は人生の墓場っていうけど…本当だよな。」
そんなことを平気で言えちゃう彼に疲れて。一緒にいるだけで、そんな言葉を聞くたびにチクチク傷ついちゃう自分にもう疲れて
「ねぇ、龍聖。」
「ん??」
「ごめん、私、ほかに好きな人できたの。だから…別れてくれないかな。」
いつものようにホテルで熱く抱き合った後、たまらなくなってそんな言葉を吐き出すと彼はしばらく目を見開いて視界をフリーズさせた。
あ、動揺してくれてる?!
そう喜んだのもつかの間。
「わかった。それじゃあ…仕方ないか。」
カレは何事もなかったかのように、にっこりと微笑んで、私とのお付き合いをアッサリと終わらせたのだった。