あなたと月を見られたら。



「嘘ばっかり!」


そんな素振り一度も見せたことなんてないじゃない!!龍聖はいつだって自分勝手に私を振り回すばっかりで、心ない言葉をかけるばっかりで、私を傷つけるだけ傷つけた最低男。


「今更…今更そんなこと言われても信じられるはずないじゃない!」



あの別れからもう2年も経っていて、私と龍聖は恋人でも友人でもないアカの他人。今さらこんな痴話喧嘩みたいなことしたって意味はないのに…気がついたらもう一人の私が叫んでた。


龍聖に傷つけられて、苦しい、苦しい、って泣いてるまんまの昔の私が、考えるよりも先に叫んでた。


龍聖は本棚から本を取り出して、私の方に向かい直すと


「ま、そりゃそうだよな。美月がそう思っても仕方ない、と俺は思う。」

「……。」

「だけどさ?あの時の俺は最低なりに美月のことは考えてたよ。他のオンナを家に入れるのは死んだってゴメンだったけど…美月ならいいかな、って思ってた。」


申し訳なさそうに、でもまっすぐに私を見つめて龍聖はまばたき一つせず語り始めた。

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