あなたと月を見られたら。

なんなの?!
なんなのよ!
月がどうしたっていうのよ!ムカつく!!


怒りがMAXに達した私。勢いのままにそのメールを削除して、龍聖のメアドも電話番号もその場で思い切って削除した。


アイツとはそれっきり。
会うこともなければ、連絡を取ることもない。あの謎のメールに返信すらしていない。街で会うこともなければ、その後の消息すらわからない。


変だよねぇ。
今思うと彼と付き合っていた時間は幻のようで、悪い夢でも見ていたようで、どこにも現実感がない。だって時折、あの人は本当に実在したのかな?なんて思ってしまうくらいだもの。


思い出すのは、あの冷めた笑顔と、義務感からくれたプレゼントだけ。


それが…元カレ佐伯龍聖との恋。


どんなに人が羨む相手でも、愛がなければ意味がない。お互いに尊敬と信頼がなければ、その付き合いは虚しいだけで意味がない。


悲しいけれど彼との恋は、それを学ばせてくれた恋だった。



だからかなぁ。
次に付き合う人は絶対に優しい人がいい。人が羨む恋じゃなくてもいいの。


私だけを見つめてくれば、それでいい。私はね?優しい、普通の愛を持った人と、当たり前にありふれた恋をするって…決めている。


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