あなたと月を見られたら。

ウッ!!
出た!麻生さんの毒舌のクリーンヒット!!


いや、そうですよ?
オンナって男の人に比べて感情が複雑で、いろんなドロドロした気持ちにまみれて生きてるけど…そうハッキリ言い切られると、こっちはドーーンと引いてしまうワケですよ!!!


厚切り卵焼きホットサンドを手に持ったまま、硬直して絶句してると

「なーーんてねっ。
あはは!毒づきすぎちゃった。」

麻生さんはテヘッと笑って天使に戻る。



「も、もう!やめてくださいよ!!あまりの悪魔さに凍りついちゃったじゃないですか!!」


慣れてきたとはいえ麻生さんの爆弾は時に致命傷すぎて、うまく返せない。確信をついてるからこそ返せないんだろうけど……時折女性に対する憎しみめいたものを感じる時すらある。


もちろんその感情はお母さんからくるものなんだろうけど……麻生さんの女性不信って龍聖以上のモノを感じる時がある。そういう意味では龍聖よりも大変なオトコ、なのかもしれないな。


《素の優聖は…俺よりはるかに悪い男だよ?》


そんな龍聖のセリフを思い出しながらサラダを頬張っていると


「ま、俺からしてみたら今の龍聖の方がいい、って言ってる牧村さんの方が奇特だよ。」

「へっ??」

「あーんなボロアパートに住んで、利益度返しで自分のやりたいことだけやって楽しんでる龍聖をいいって思うって…昔の龍聖を知ってる女なら、絶対に言わなさそうだもん。打算の内にも入んない、可愛い悩みだよ。」


麻生さんはクスッと笑って、そんな一言を呟く。

< 70 / 223 >

この作品をシェア

pagetop