あなたと月を見られたら。

その時の龍聖の印象は「カッコイイひとだな」っていう一言に尽きる。細身のスーツをサラリと着こなして、顔立ちがビックリするくらい綺麗な容姿端麗な男の人。


こりゃ、モテるわ。


そう思ったのを鮮明に覚えてる。



オジサマたちと楽しくお話しして盛り上がってくると、そこに時々のって話しかけてくる龍聖と彼の後輩。


その時の私は龍聖が着ていたスーツがドルチェ&ガッバーナのスーツだったことも、彼の年収が0が7つもつく高額収入だったことも何一つ知らなかったけれど、、、。その時間はとても楽しくて、とても幸せだったことを今でも覚えてる。


ま、あんなイケメンを肴に美味しくお酒を飲める機会なんてそうそうないし、オジサマたちの“ここが変だよ、日本人”的なワールドワイドなお話もすっごく楽しかったしね。


そんなこんなで楽しい時間を2時間ほど過ごした後

「ミツキはお仕事何してるの?」

とオジサマに聞かれて

「出版社で編集のお仕事をしてます」

と答えると

「オオ!スゴイね!」

オジサマたちはなぜかとても驚いて、私のビールグラスにチンと自分のグラスを当ててくれた。


まあ、編集のお仕事っていえば聞こえはいいけど、校了前なんて何日も帰れなかったりするし、体力勝負だったりもするから女子にはなかなかキツイ職場ですけどね……。


なーんて心の声はひた隠しにしながら

「ありがとうございます。」

と答えると、もう一人の私の友達が

「みなさんのお仕事は何ですか?」

と不躾に尋ね始める。



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