あなたと月を見られたら。


すると四人は顔を見合わせてクスッと笑うと

「ボクたちはコーヒーショップで働いてるんだよ。」

オジサマの1人がそんなウソをつき始めた。


オジサマの言ったコーヒーショップの名前ははシアトル系の超メジャーなコーヒーショップ。そんなウソに気づかずに

「へー!スゴイですね!」

と、感嘆の声を上げると龍聖は「はい?」と怪訝そうに顔をしかめてたのを覚えてる。



「私、毎日そのコーヒーショップに寄ってから仕事に行くんですよ。コーヒーの香りが大好きだから、いつも癒されてます!!ありがとうございます!」


大変な仕事があっても美味しいコーヒーで癒やされる。それがあるから頑張ろう、って思える大切な空間。


彼らの勤め先は私にとって安心できる、とても大切な場所だったから、純粋な気持ちを込めて感謝の気持ちを伝えると


「あはは!なんかキミは変わってるね。コーヒーショップで働いてる、って言った瞬間が一番目がキラキラしてる。」


龍聖は呆れたようにクスクス笑った。


「うーーん。だって今一番お世話になってるお店ですもん。人がどう言ったってコーヒー1杯で人を幸せにできる職業って素敵です。人の気持ちや感動ってお金では決して買えないものじゃないですか。だから…皆さんのお仕事はとっても価値ある仕事だと思います。」


そう言ってビールをクイッと煽った後、なぜか龍聖は私に興味を持ちはじめて、きちんと会話をしてくれるようになった気がする。

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