あなたと月を見られたら。
◇ ◇ ◇ ◇
「…とまぁ、そんなワケで…。
私たちが付き合ったキッカケは、龍聖のナンパです。」
ホットサンドを頬張りながら、ウンウンと頷くと
「ふーーーん。
あの龍聖がねぇ……。」
麻生さんは意外そうな顔をしてアイスコーヒーをストローでツウッと啜った。
まあ、ね。
そりゃ普通で考えたら私が必死のモーションをかけて、やっと落とした!っていうのが妥当なんだけど…現実は逆なんですよ、逆!!
アプローチをかけてきたのは龍聖!!私はどちらかといえば無実なんだからーっ!!
そんなどうでもいいことを思いながら、更にホットサンドを口に頬張ると
「…で??龍聖がコーヒーショップの店員じゃなく外資系企業に勤める高額物件ってことはいつ知ったの??」
「ふぇっ?」
「ほら。龍聖は牧村さんにコーヒーショップの店員って嘘ついてたんだろ?次のデートで教えてもらった??まさか……付き合い始めてから知ったとか、ないよねぇ??」
麻生さんはカラカラと笑いながら、こんなことを言いはじめる。
う、うぅ……!!
その言葉に何も言えなくなって。モグモグしていた口を止めて青ざめてると
「まさか……。マジで付き合うまで知らなかったの……??」
同じく青ざめながら、麻生さんが問いかける。
その言葉に体を固まらせながらコクコクとうなづくと
「ええーーっ!!ありえねぇ!!
アンタ、何やってんだよ!!」
麻生さんはデビル麻生を隠しきれずに、ドン引きしながら大声で叫び出す。