美園君は、お化けの癖に私を恋愛対象としてストーキングする。
憑いてこないで、美園君!




夏休み。

ジリジリと燃えるような太陽に灼かれ、死にかける私は、神崎澪(かんざき みお)、高校2年生である。

高2の夏休み。

青春真っ只中のはずが、友人達はバイトに部活、彼氏とデート三昧(リア充滅びろ!)。

よって仕方無く、一人寂しく家でゴロゴロしていた訳だが。



「あんた、暇ならおばあちゃん家行きなさいよ。」




花の女子高生のこんな堕落した姿を見かねた母上が私に勧めてきたのは、田舎に住むおばあちゃんの家に行くことだった。

おばあちゃんは、今年65歳。

おじいちゃんに2年前に先立たれてから、一人で田舎暮らしをしていた。

一緒に住もうと、お母さんもお父さんも私も提案したけれどおばあちゃんは一向に首を振らず。



「じいちゃんとの思い出のある、此処にいたいのよ。」



そう幸せそうに言うおばあちゃんの気持ちを無下にすることは誰もできなかった。

そういう訳でおばあちゃんは、おじいちゃん亡き後も思い出の地に住んでいるのだ。






八月の頭。

私の住んでいる割と都会な街から新幹線に乗り、電車に乗り、ガタンゴトン揺られて5時間。

到着したのは“みのり浜”という小さなビーチを町の観光名所とする、小さな町、みのり町。



あたりを見渡せば、海、砂浜、岩。

そして沢山の木々ばかり。




都会の騒がしさとか活気はないけれど、涼しくて、何だか優しい雰囲気のあるこの町を、おばあちゃん同様私は凄く気に入っていた。


(昔は、おじいちゃんと泳いだり、おばあちゃんとお祭りに行ったりして……楽しかったなぁ)


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