誘惑したくなる上司の条件
部屋で夕食をいただきながら、日本酒で乾杯。
忘れ物で迷惑かけてごめんなさいの乾杯かしら?
それとも2人きりの夜に乾杯?
これから始る大人の時間への乾杯?
34年、独り身でいると…
ありとあらゆる角度から妄想しちゃうわ。
「それにしても…お前と2人で酒を飲むなんて久しぶりだな…」
眼鏡の奥の眼差しが優しく笑う。
昔から課長のこの優しい目が好きだ。
「そうですね。特に先輩が課長になってからは皆無ですよね」
「そうだな。
後輩が増えて負担があるだろうけど、調子はどうだ?」
「変わりませんよ?最近の若造は口のききかたを知らないんでよくどついてやってます。
でも、根性のある奴らが多いし、私が入社したての頃と比べたら、だいぶ活気もありますよね」
「それもそうだな」と課長が笑う。