誘惑したくなる上司の条件
「課長!どうすればいいですかね?」
顔をあげるとそこには誰も居なくて、開け放たれた扉が視界に入った。
いなくなるなら一言、声をかけてくれるべきなんじゃないかねー?
大きな独り言になってしまった言葉が恥ずかしい。
でも仕方ない、こうなったら自力でなんとかするか…
いつも課長が作ってくれる商品の資料をファイルから取り出し、目を通す。
暫くして、ようやくヒントを掴んで、勢いに乗ってPCに向かった瞬間「そろそろ、一回休憩しないか?」とコンビニの袋をぶら下げて課長の登場。
なんてタイミングの悪い…。
「捗ってるか?」言いながらPC画面を覗き込んだ課長が次の瞬間、シラけた眼差しで私を見た。
「私…悪くないですよ?」
今からやろうとしてたんだもん。
「そうだよな…そうだよな…軽い気持ちで果穂に任せた俺が悪いんだよな…。」
…どうもすみませんね。
「でも、新人の女子2人は営業の成績は悪くても、事務作業は得意なんだよな…」
その言い回しにちょっとカチンとくる。