誘惑したくなる上司の条件


どうせ私には頭を使う作業なんて向いてません。

分かっていたなら、最初からあのどちらかの子を内勤に残せば良かったんじゃないの?

私が外に行く方がまだ、目標に近づけるんだから。


返事をせずに黙々とキーボードを打っていると、突然ほっぺに冷やっと冷い感触がして、思わず「きゃっ‼」なんて可愛らしい声をだしてしまった。


「グレープフルーツの炭酸水、好きだったろ?」

「ありがとうございます…」

ほっぺに当てられた飲み物を受け取り、口をつける。


私の隣に椅子を持ってきて、コンビニの袋からサンドイッチを出すと「食べていいぞ」と渡される。


「有難うございます…」

昔から面倒見の良い課長は、誰にでもこうやって優しくする。

異性とか、同性とか、年上も年下も関係なく。


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