誘惑したくなる上司の条件
「あ、そう…。で?終わりそうなのか?」
「はい、今終わるところです。
チェックしといて下さい」
宮路が席を立って、帰り支度をしはじめる。
「…分かった。飯、2人で行くのか?」
「うん。課長も行きたかったですか?」
私が笑うと「まだ仕事が残ってる」とPCに向かう。
そういえば…課長は香水とかつけてたっけ?
気になって首筋の匂いを嗅ぐと
「何してるんだよ!」と大袈裟に驚くから「えっ?いや…別に」と私も焦って言葉に詰まる。
そんなに焦ることないじゃん。
女みたいな反応でこっちがビックリだよ!
でも、やっぱりさすがに課長から香水の匂いはしなかったけど
変わりに少し男の汗の匂いがして…
ほんの少しドキッとしてしまった。
大人の男は香水の変わりに汗か…
私の頭の中の辞書に新しい言葉が追加された。
男の汗。それは大人の男の色気である。