誘惑したくなる上司の条件
バッグが旅館に置き忘れてあったことは、課長がすぐに問い合わせてくれて分かった。
飛行機は待ってくれないので、他の皆は私のことを笑いながら置いて帰った。
「飛行場に着くまで1時間バスに乗ってたのに、よくバッグが無いことに気づかなかったな…」
「すみません。
本当に申し訳ないです。しかも、付き添って頂いて…
本当に迷惑ばかりかけてすみませんです…」
「まあ、別にいいさ。あと2日連休だしな…
家に帰る時間が数時間、遅れた処で問題はない」
「本当にすいません。」
旅館に逆戻りしているバスの中で、課長は静かに携帯で飛行機の空き便を探してくれる。
「何から何まで本当に申し訳ないです…」
さっきから、謝罪ばかりの私に
携帯を見ながら「お前に手が掛かるのは今に始まったことじゃないだろう?」と微かに笑う。
本当に、上司に恵まれました。