誘惑したくなる上司の条件
外に出るとすぐに「契約成功させたご褒美に昼飯奢ってやる」と課長。
「契約を成功させたのは課長です…」
「そうじゃないぞ?俺の資料は、ただお前の作った資料の中で重要な部分だけを引き抜いたものだ。」
「それでもです!」
「固い事を言うな。昼飯に行くぞ」
課長が来なければ私は、悔しい思いに唇を噛み締めながら、今頃一人で、自分の無力さに泣いていたかもしれない。
「どうして来てくれたんですか?」
「たまたま。
たまたま同じエリアにいただけだよ」
言いながらそっぽを向く。
あの資料もたまたま持っていたとでも言うんですか?
…
お人好しな性格なんて言われても、この件ばかりは納得しませんよ?
私が心配だったから…
そう、言ってくれないと…。
嫌なんですから。