砂漠の賢者 The Best BondS-3
まあ普通は店内に他の客と情を通じた女が居るというのは余り外聞の良い話ではないから、ルカが罰の悪い顔をするのも仕方がないと言えよう。
そんな話を喜ぶのはこういった場所を風俗代わりにしようと考えている男位なものだ。
「そんなことで気を悪くしたりしないさ。人類皆兄弟ってな」
別に知らない男と知らない女の間柄などどうでも良い。
そんなことを気にしていたら処女以外抱けなくなってしまう。
「まぁいいから、ちょっと呼んでくれるか、その娘達を順番に」
その申し出にルカは怪訝そうな顔をしたが、直ぐに笑顔に戻り頷いた。
「勿論構へんよ。ほな、少し待っとっておくれやす」
しばらくしてやってきた女はいずれも確かにキアラの言った通り、大和撫子という言葉が似合うしおらしさを纏った娘だった。
年の頃は皆、二十歳を越えたかどうかという程。
ただこの娘達、始終顔を朱に染め、何を聞いても「はい」と「いいえ」ばかりで会話がまるで成立しない。
本当にこんな面白みの無い女が良いのかとジストは心中で毒づいた。
大和撫子というより、気が弱く自分というものを全く持っていないだけのように思えた。
普段エナを見慣れているだけに余計そう思うのかもしれないが。
これでは何の情報も引き出せないと諦めかけたその時。
店の奥の一席で硝子の砕ける音がした。
面白みの無い女がびくりと体を強張らせた。
「……?」
ジストは酒を嚥下しながら音のした方を見遣る。
其処には如何にも御上(オノボ)りさんといった風体の男が三人。
逆上しているのか、その内の一人の手には割れたビール瓶が握られていた。
どうやら其れが音の原因らしい。
ジストは耳を欹(ソバダ)てた。
聞きたいと思った音を拾えるのだから人間の耳というのは便利な機能を持っているといえよう。
「オレ達はなあ! あの席に座りたくて来てんだよ!」
そう言って男は中二階の席を指差した。
その騒ぎにハセイゼンの子息、リゼもその三人を見たが、余り関心が無いのかすぐに目を逸らした。
全く無関係ではないのにも関わらず、だ。
「なのに、いつ来てもあのガキが陣取ってやがる!」
おそらく必死に金を貯めて来ているのだろう。
身なりもそれほど立派なものではない。
そんな話を喜ぶのはこういった場所を風俗代わりにしようと考えている男位なものだ。
「そんなことで気を悪くしたりしないさ。人類皆兄弟ってな」
別に知らない男と知らない女の間柄などどうでも良い。
そんなことを気にしていたら処女以外抱けなくなってしまう。
「まぁいいから、ちょっと呼んでくれるか、その娘達を順番に」
その申し出にルカは怪訝そうな顔をしたが、直ぐに笑顔に戻り頷いた。
「勿論構へんよ。ほな、少し待っとっておくれやす」
しばらくしてやってきた女はいずれも確かにキアラの言った通り、大和撫子という言葉が似合うしおらしさを纏った娘だった。
年の頃は皆、二十歳を越えたかどうかという程。
ただこの娘達、始終顔を朱に染め、何を聞いても「はい」と「いいえ」ばかりで会話がまるで成立しない。
本当にこんな面白みの無い女が良いのかとジストは心中で毒づいた。
大和撫子というより、気が弱く自分というものを全く持っていないだけのように思えた。
普段エナを見慣れているだけに余計そう思うのかもしれないが。
これでは何の情報も引き出せないと諦めかけたその時。
店の奥の一席で硝子の砕ける音がした。
面白みの無い女がびくりと体を強張らせた。
「……?」
ジストは酒を嚥下しながら音のした方を見遣る。
其処には如何にも御上(オノボ)りさんといった風体の男が三人。
逆上しているのか、その内の一人の手には割れたビール瓶が握られていた。
どうやら其れが音の原因らしい。
ジストは耳を欹(ソバダ)てた。
聞きたいと思った音を拾えるのだから人間の耳というのは便利な機能を持っているといえよう。
「オレ達はなあ! あの席に座りたくて来てんだよ!」
そう言って男は中二階の席を指差した。
その騒ぎにハセイゼンの子息、リゼもその三人を見たが、余り関心が無いのかすぐに目を逸らした。
全く無関係ではないのにも関わらず、だ。
「なのに、いつ来てもあのガキが陣取ってやがる!」
おそらく必死に金を貯めて来ているのだろう。
身なりもそれほど立派なものではない。