恋に恋して恋してる
恋に恋して。
【劉生】
春先とはいえ屋上はまだ、冷んやりと肌に突き刺さる様な風が吹いていた。
でも、そんな寒さも感じずに俺コト矢坂劉生(やさかりゅうせい)は屋上で細い目をしてグラウンドを睨みつけながら一服していた。
「ふぅー…」
片手に持ったタバコを手すりに当てて灰を落とす。
「ちっ…楽しそうに笑いやがって…」
グラウンドで男に混じり笑っている女。
豊田ゆなか
特別めちゃ可愛いとか美人だとかでは無く、ただ男の話を聞くのが上手くて男とは良く話していた。
ただ、それもあってか女友達は少ないようだったり…
「俺も同じクラスならあいつの隣で笑えたのに…」
次は、馬鹿みたいにぼーっとして唇をとんがらした。
あいつ次は何するつもりだよ。
グラウンドに居るゆなかは、こっそりと服の袖にケータイをいじっていた。
でも、すぐにゆなかはケータイをポッケトに入れてまた男達と話始めた。
「何してたんだろ?男とか今いんのかな?体育もう終わるよ?的な?」
そうんなコトを一人で呟きながらタバコをもう一度口に当てる。
ラ*イン!
と可愛い機械音の音がズボンポケットからする
「あいあ〜い♪誰ですか〜?」
タバコを咥えながらケータイのロックを解除する。
あれ?ゆなか?
何の用だよ…てか、珍しいな…
緑の枠の中には
『授業出てる(・ω・)ノ?
りゅーちゃん今日一緒に帰れたりするのかな?
帰れたらクラスまで迎えに来て欲しいな!!』
様があっても迎えに行くけども?
久々のお誘いだ!
何か食わせてやろうかな?
何て考えながらタバコを地べたに捨てて靴で踏み屋上を後にした。
キーコーンカーンコーン。
俺からしたら天国に入る門のベルの様に聞こえてワクワクが止まらない。
普段は、俺や俺の仲間の見た目が怖くて近寄れないらしい。
俺たち自体はそんなつもり無いけど…
申し訳ない…。
にしても遅いなぁ…。
早くゆなかを拝みたい。
久々にまじかで見るんじゃね?
そんな事考えながら腰あたりの高さのロッカーに座り込み足をくむ。
「ねーっ!あそこの茶髪の男の子!ヤバくない?」
「それ思ったぁ〜♡」
「ピアスの穴ヤバイよ〜〜?」
「そこが逆に良いのよ!」
廊下の先の女達がこちらをチラチラ見てくる。