冷めてる彼氏✕冷めてる彼女
拓人は眉間に皺を寄せて、苦しそうな顔をしていた。
それを見たら我に返った。
「わ、たし…」
「部屋に戻ろう。」
拓人の腕から開放されたと思うと、腕を掴まれて部屋に連れ戻された。
少しずつ、落ち着いていく。
私、お母さんに……。
「落ち着いたか?」
「ん。」
「いつもこんな感じ?」
「いつもはない。今日だけ。」
拓人は「ならしょうがないか」と呟いてベッドに腰をおろした。
「あれは本心じゃないだろ?」
全てを見抜いているような笑顔を浮かべていた。
だけど目は問い詰めるようで威圧感がある。
「まぁね。」
愛情を表現するのが苦手な人だって知ってる。お父さんもお母さんも。
育ててくれてることも感謝してる。
「気持ちは素直に伝えた方が得するぞ〜」
拓人は寝っ転がりながら言った。
なんだ、そのクサイ台詞は。