不良リーダーの懸命なる愛 〜プール編〜
………でも、そっか。



迎えに来てくれたんだ!




嬉しいなぁ……。



霧島くんと私は、お付き合いを始めてまだ数週間しか経ってないんだけど、


放課後は暇な時間を見つけては、こうしてお互いが逢いに行ったり来たりする。



霧島くんがバイトの時は、私が少し彼のバイト先にお邪魔してお喋りをしたり、
彼の淹れてくれたコーヒーを飲んで過ごすことが多い。



「そういえば咲希のバイト先、来るの久しぶりだよな?」


「え?!そうかな?!霧島くん3日前も来てくれたよ? “夜遅いから帰り送る” ってメールくれて……。
今もそうだけどあのとき私、すごく嬉しかったなぁ……。」


「っ!!…そ、そうか!そうだったな!勘違いしてた!うん。」




???




どうしたんだろ、霧島くん。



なんだか急にしどろもどろ…?



そんな彼は私が見ているのに気付いたのか、 “ゴホン!” と咳払いをひとつして話題を変えた。



「そういえば、もうすぐ夏休みだな。……咲希はさ、夏休みなんか予定あんの?」


「え?夏休み??そうだな~、ほとんどバイトかな?あとは、特に無いかも。」


「そ、そうか。」


「う、うん!」


「……………。」


「……………。」




な、なんだろ?!


この緊張感は!!



気まずくはないけど、なんだかドキドキするよぉ~~!!



少しの間、家までの道のりを並んで歩いてる私達はただ黙って、



お互いの存在を感じてた……。



それがなんだかくすぐったくて、何度も背の高い彼をチラチラと見てしまった…。

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