不良リーダーの懸命なる愛 〜プール編〜
密着
「キャア―――!!」
バシャ――――ン
下で絶叫する声が聞こえてきて、同時に豪快に水しぶきが上がった!
高さ25メートルに全長180メートルもあるウォータースライダー。
何種類もあるスライダーの中で、2人乗りのゴムボートで降(くだ)るこのスライダーはカップルの間ではとても人気があるらしい!
「す…すごい……。」
地上の様子を見て思わず声が震えてしまった私。
1時間近く並んでやっと頂上のスタート地点に来たけれど、私はその高さとスリル感に圧倒されていて足が少し竦(すく)んでしまっていた。
するとそんな私の様子にすぐ気づいてくれたのか、霧島くんが強張った私の顔を覗いてくる。
「…咲希、大丈夫か?怖いなら降りるか?」
「う、ううん!大丈夫だよっ!いきなりこんな高さまで来たから、ちょっとびっくりしちゃっただけで!」
「…ならいいけど、絶対無理だけはすんなよ!?俺に遠慮することなんてねぇんだからな?」
「っ。うん!ありがとう…!」
霧島くん……。
やっぱり優しいな。
それにさっきからずっと手を繋いでくれていて、さりげなく私の半歩前を歩いてくれている。
そんな彼を見つめるたびに胸の鼓動が高なって…。
そのたびに頬を染める私だった。
対する霧島くんはいつもと変わらず冷静というか、顔色はあまり変わらないでいた。
むしろいつもは私に意地悪してからかってきたり、はたまた強引に色っぽく迫ってくるのにそれが今日はあまり無くって、
こんなに緊張しているのは私ひとりだけなんだと思ったら少し寂しくも感じていた。
でもそんな霧島くんの凛々しい横顔もとても素敵で、周りにいる女の子たちがさっきから霧島くんのことをチラチラと見ている……。
本当に、
こんなカッコイイ人が、
私の“彼氏”さん
………なんだよね?
おもむろに繋ぐ手を見つめる。
その温もりが嘘じゃないことを教えてくれていた。
でも…。