不良リーダーの懸命なる愛 〜プール編〜

抑制


ドッボ――――ン



「おかえりなさぁ~い!ボート回収いたしま~す!」



無事に地上へ降り立った私と霧島くん。



「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ、こ…怖かった……。」



無駄に叫びすぎた私は息を切らしていた…。



わ~!最後プールに飛び込むのはわかってたけど、思いっきり頭から水を被っちゃったな~!



私達の他にも到着する人達がみんな全身ずぶ濡れになっていて、稀にボートがひっくり返るところもあって笑いが起きていた。


ふぅ~と息を吐いて周りを見渡しているとあることに気付いた!



「……あれ?霧島くんは…?!」



霧島くんの姿が見当たらない!




ま、まさか!



さっき上で霧島くんを狙っていたお姉さん達に連れ去られたんじゃ…?!!


「き、霧島くん!どこ!?」


彼の名前を呼びながら、きょろきょろと辺りを探していると…。



ザバァーー!!



「ぎゃあっ!!」


私の目の前に突如として大柄な男が水の中から勢いよく姿を現したっ!!


「ハハハハッ!!スゲー顔だな、咲希!」


「霧島くん!!はぁ~~、もうびっくりしたぁ~。」




…………って。



こ、こ、これはっ!!!



いつもとは違うストレートで前髪が下がった髪型。


そしてその髪から滴(したた)り落ちる雫。


身体の筋肉に沿って滑り落ちていく幾つもの水滴。



『水も滴るいい女』という言葉があるけど、


この場合は、『水も滴るいい美男子』といっても過言じゃないかと思うくらいに霧島くんの水に濡れた姿は破壊力抜群の色気だ!!!



そのお色気ムンムンの霧島くんを前にして、完璧に固まってしまった私!



そんな彼は前髪を掻き上げながら堂々とした面持ちで私に視線を向けると、


「…ん?どした、咲希?」


と、一歩……また一歩……と近づいてきて、


気がつけば彼の顔が私の目と鼻の先にあった!!




どどどドアップ!!!



このままじゃまずい!!


な、なんとか一定の距離を保たないとっ!!


顔から火が出てもおかしくないくらいの距離に、私は霧島くんの色香に当てられて硬直してしまった足を必死に動かそうと試みるけどなかなか動いてくれないっ!!!



「あ。ちょい待ち。咲希、動かないで。」




へっ!!??




すると霧島くんはその大きな体を屈ませて、左手を私の頬へ滑らせるっ!

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