不良リーダーの懸命なる愛 〜プール編〜
第3章
初めて
太陽が私達の真上の位置から西へとやや傾きかけた、午後1時頃ーー
より一層夏の暑さが伝わってくる時間帯になってきた。
私は再びパレオを身に纏うと、パラソル付きのテーブルに座ってそわそわしながら霧島くんを待っていた。
ちなみに霧島くんはいまカウンターで店員さんに料理を注文しているため、先に私は場所とりをしていた。
…それにしても、まさかアクアランドにこんな綺麗なレストランがあったなんて!
いま私達がいる所は数あるレストランの中で霧島くんが選んでくれた高台にあるとっても見晴しがいいレストラン!
それにすぐ側には熱帯植物が私達の周りを囲み、色とりどりのハイビスカスも咲き乱れていて、この区画だけ南国に来ているような気分を味わえる、とても良い場所!
細かい霧状のミストが正面に降り注ぐと、小さな虹がかかって屋外なのにとても清涼感を満喫できる造りになっていた。
本当に凄いなぁ~。
外にいるのに全然暑さを感じないし。
それに入口がちょっとわかりづらくなっていたからかな?
あまり人が混んでなくてすぐに座れてよかった!
霧島くんが選んでくれたこのレストラン、もしかしたらけっこう穴場で正解かも!?
はあーー…!とあまりの豪華さに思わずため息をもらしていると。
「待たせたな、咲希。」
と、霧島くんが二人分のトレイを両手に持ってこっちに歩いてきた!
「…あっ!霧島くん、手伝いますっ!!」
とそんな彼の姿を見て私はすぐに立ち上がると、料理の乗っているトレイに手をかけようとする。
けれど。
「咲希、こういうのは“男の務め”ってもんだから。重いもんは男が持つ!デートの時は、特に。だから手助け無用なんで。」
「……あ!ちょっと、霧島くん!?」
そう言って霧島くんは難なく私の手からひょいっと逃れると、そのままスタスタとテーブルまで一直線に歩いていく…。
“デート”か……。
改めて言葉にされると、なんだかとってもくすぐったいな!
でも今はそれがとても心地良い……。
今日のデートのことであんなに悩んでいたことが嘘のよう。
霧島くんの口から出たその言葉が、今日という日をより確実なものにしてくれる…。
私、霧島くんを誘ってよかった……。
彼の逞しい背中を見つめながらそう心の中で呟いた。